「恋ヶ窪★ワークス」 全1巻 大森しんや

  • 2008/06/17(火) 06:43:11

★★★★☆万人向きではないかもしれませんが一応おススメ

恋ヶ窪★ワークス 愛蔵版 (Motor Magazine Mook)恋ヶ窪★ワークス 愛蔵版 (Motor Magazine Mook)
(2008/06)
大森 しんや

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作品紹介
〜バイク雑誌「ミスター・バイク」紙上でにて別冊付録として連載してたものの単行本化。
バイクを通して様々な人と出会い、成長をしていく少女。何の変哲も無い小さなバイク屋「恋ヶ窪★ワークス」を舞台に元レディースあやめが奮闘するハートフルドラマ〜

ということで、ちょっと異色な出のマンガ。
自分はバイクに微塵も興味ないので、このマンガの連載自体知らなかったし、単行本が出ることも知らなかったんだけど、絵柄に惹かれて衝動買い。
細かく書き込まれた画。デフォルメが巧く、魅力的なキャラとコメディ。押し付けの感じられないいい塩梅の人間ドラマ。まぁあとバイクの描写。
非常に高水準でまとまった良作でした。

元レディースのあやめは訳あって恋ヶ窪★ワークスで勤めることになる。
この「訳」が作中で徐々に語られていくことになるんだけど、とにかく主人公でもあるあやめは少し過去にとらわれてる少女。
恋ヶ窪★ワークスのオーナーでもある「ボス」も腕利きのメカニックではあるんだけど、これまた過去に何があったとか、店の成り立ちとかが語られることは一切無い。

登場人物の心情描写は一番根っこの部分を語る事無く、お客さんとの触れ合い、仲間と参加するレース等いろんなイベントを通して徐々に成長をしていくあやめを中心に描いていく。
物語の終盤でそれら語られる事の無かった部分の謎解きも含めて、作品全体が終わりへとシフトしていくんだけど、ソコの展開だけは頂けなかった。

多くは語らずの含みを終わらせる展開自体に不満があるというよりは、大元の設定に対する説明が圧倒的に不足しているような気がするんだよなぁ。
バイクをメインテーマに据えてても、最終的に描かれているのは人間、人生といったモノで、作品全体のジャンルは?と聞かれたら「青春グラフィティ」な気がするので、余韻を残す終わり自体は演出的にありだと思うけど、落としかたにちょっと納得がいかなかったのは残念。
演出というか、味といわれれば納得できなくも無い範疇ではあるけども。

活動する媒体が限られてるせいか、今まで知らなかった作家さんだけど、非常にいい感じのマンガを描く人だなぁと思った。
この人がどの程度活躍してて、他にどんな作品があるのかちょっとわからないけど、この人の作品は好きな部類にはいるかも。

「オトノハコ」 全1巻 岩岡ヒサエ

  • 2008/06/02(月) 22:20:58

★★★★☆

オトノハコ (KCデラックス)オトノハコ (KCデラックス)
(2008/03/31)
岩岡 ヒサエ

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作品紹介
〜「変な声」そう言われたことがある。でも、高校入学から毎朝響いてくる歌声が、気になってしょうがない田辺きみ。なりゆきで合唱部に入部してしまったけど、ほんとに大丈夫なのか……。
声の悩みから恋の悩みまで、弱小合唱部の青春を描いた学園ストーリー。

青春部活もの。
文科系の部活を扱ったものとなると圧倒的に多いのがブラバン系。
この作品はそんな流行とはほんの少し違う合唱部もの。

ぶっちゃけストーリーの構成には目新しさのようなものは感じない。
部員数の少ない零細合唱部に入部した、1年生主人公。
多少軌道になるかと思われたところでの廃部宣言、そして実績を残すべくコンクールの出場を目指す。なんともありきたり。
しかしそんなことはまったく問題ではない。「岩岡ヒサエ」というすばらしい個性によって描かれる暖かみのあるタッチ、随所に散りばめられた独特のクスりとくる笑い。そしてなによりベタな展開によって引き出される感動。

青春モノとして、キャラクターたちの細かな心情の機微を描いてるのはもちろん、合唱の部分もしっかりと描かれてるのも好感が持てる。
「音」っていうマンガでの表現が難しい対象を台詞も書き文字もない「無音」のコマで表現したり、合唱の練習についてもわりと具体的に描かれており、テーマに対しての作者の思い入れがしっかり感じ取れる。

絵のタッチともあいまって非常に丁寧なつくりが伺える良作。
同作者の「花ボーロ」とも微妙にクロスオーバーしているのがファンにはうれしい遊び。